NO.8

 



キリギリス

キリギリスの汗を信じてもらえない

 朝刊を開くと戦車ばかり出る

  福耳のおんなが愛を信じない

   こだわりを捨てチョキも出すパーも出す

    内角で遊ぶ勇気のあるおんな

     シルバーシートのやさしさって何だろう

                            



夜桜

夜桜のように散れたらなと思う

  モザイクがあるとそこだけ見てしまう

   麻酔から覚めてジョークが出て来ない

    人を斬るメモを末席からもらう 

     不意打ちのように一円玉が要る

       ボリュームを上げてはならぬ裏ビデオ


肩書き

肩書きをとると人間臭すぎる

 ジグソーの一枚ずつに出す辞令

  死ぬよりも怖いと思う紙オムツ

   地球一個ゆずると遺書に書いておく

    原子力発電所を釣ってしまった防波堤

     することもないからモウと鳴いてみる




駐車場

畑より稼いでくれる駐車場

 真っ白な紙に何かを書く勇気

  太陽を撃ってしまったテロリスト

   背中から脅迫されるワンコそば

    立ったまま枯れる男という美学

  父と子の紙風船よいつまでも




ラブホテル

張り込みが阿呆らしくなるラブホテル 

 真後ろの敵を視界に入れておく

  鉛筆の芯かゆくなる美辞麗句

   ドミノでもないのになびく癖がある

    クリスティめくる指から秋になる

     ロスタイムですよ 地球がつぶやいた




No7    



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