No.6 |
原罪の甘さで熟れてくる 林檎 |
空き瓶の底どこまでも世紀末 |
存在の意味 そこにあるドラム缶 |
輪廻転生 ひらひらひらと 桜散る |
死神と ワルツを踊る 春の宴 |
写経百巻いのちをつなぐ灯を点す |
のんびりと波打つ春の心電図 |
あじさいの彩に迷いが溶けて行く |
三叉路の女神は風を産み続け |
流罪かも知れぬ余命を抱いている |
教会の坂ゆるやかに 桜桃忌 |
螺旋階段を昇りつめると春に出る |
おでん屋の親父が読んでいるニーチェ |
冬木立最後の逃げ場かも知れぬ |
言い訳も聞かずに湯豆腐が煮える |
二人きりの孤独を知っているふたり |
ふくらんだ餅を信じていた不覚 |
乾電池切れたピエロの冬帽子 |
あいまいな一日でしたもう寝ます |
妻を愛しなさい 地球を愛しなさい |
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