
お相撲さんがみんな年上に見える。不思議なことだ。まだ髷を結えない見るからに若者も、まるで貫禄が違う。政治家もそうだ。立場と地位が人を作る、という典型例かも知れない。(と、ここで冷たいものを飲む)。今夏はどうしようもなく暑い。実は相撲協会理事長より総理大臣より年長の私の身体には厳しい夏だ。水分をちびちび摂りながら、わずかな気力だけでかろうじて前を向く。
おなじみの、サミュエル・ウルマンの詩「青春」に「青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言う」とある。私の知人にも「年齢を数えても仕様がない。年齢は単なる数字だ」とおっしゃる先輩、後期高齢者の方がおられる。しかしどうやら、運動不足や昔の暴飲暴食がたたって、正直なところ「様相」だけではご提言には素直に頷けない。今からでも遅くないとは思う。コツコツと地道に運動して、足腰だけでも挽回できれば、と天井をみあげながら思う。
先般、映画「桐島です」を観た。爆発物取締罰則違反容疑で、半世紀にわたり全国に指名手配され続けた、桐島聡の物語である。パンフレットによると、「桐島」当人は私と全くの同年輩で、映画には、私が歩んできた時代がそのまま描かれていた。昨年の1月26日、彼は、入院先で「桐島です」と告白し、日本中に衝撃を与える。私も報道で知った。そして、その四日後の29日に、末期がんで亡くなった。
主演の俳優さんがいい。20代から70 代をひとりで演じきった。晩年の「桐島」は、室内でズボンを穿こうとして、ひっくり返ったり、つんのめったり。「そうだよ、これだこれ」と、我が身を振り返りながら、可笑しくなった。この俳優さんの歩き方、ほとんどメイクに頼らない年齢の重ね方がうまくて、感嘆、名演技だった。
さて、今日もジリジリと熱い。いつまでつづくやら。勝たず負けず。過信せず、無理をせず。
