
県の公安委員会からハガキが届く。運転免許の高齢者講習の案内だった。これをさぼると免許更新ができないそうだ。そうか。初体験である。
運転技能・認知機能などの文字が散見された。いろいろと想像する。「今朝の食事は何か覚えていますか」「今日は何月何日ですか」などと。毎日適当に食って、土日の休みだけが楽しみなので、即答する自信がない。
70歳未満の方々のために、体験記を記しておきたい。
約50年前に通いつめた、なじみの自動車教習所だった。走馬灯がぐるぐる回る。まず、受付で講習料を支払う。平静を装ったが、予想をはるかに超えた額だ。案内に従い、教室に向かった。「今日は人数が多い」という話しだったが、私を含めて4人である。私は窓際に座った。「窓際のおトっちゃん」である。
アンケート用紙に日時・名前・住所を書く。さて今年は、令和何年だったかと一瞬とまどい、日にちは時計の文字盤を盗み見る。法令の変わった箇所を中心にテキストの解説が始まった。特に気になったのが、令和元年からだが、携帯電話使用の「ながら運転」が違反点数と反則金が3倍にも跳ね上がっていたことだ。そして、視力検査。最後に、教習所のコースを一通り走る。自分の運転順番が来るまではVTRの鑑賞がある。結果は、合否ではなく、免許更新のためのアドバイスとして伝えられる。所要時間は丁度2時間、それで全てが終了。
待合室に戻ると、アイスと冷たいドリンクが置かれていた。無料とある。アイスキャンディーを頂いた。2時間だけの仲間だったが、私より年輩らしいひとりがにこやかに話しかけて来た。「お盆に初孫が来て、恥も外聞もなく赤ちゃん言葉になりまして」という。「お宅はどうです?」と言うので、「私は独身なので、ソンナことはないでチュ」。講習の緊張が解けてすぐだったにしても、うかつだった。アイスで舌がとろけている。
