その101「長崎・軍艦島へ上陸」

「長崎・軍艦島へ上陸」

ハウステンボスの電飾・イルミネーションが謳い文句の九州(長崎)ツアーだった。が、ハイライトはやはり軍艦島だ。平成27年に世界文化遺産に登録されている。「日本の近代化の歴史を伝える産業遺産」なのだ。旅の栞(しおり)には、雨の場合は合羽のご準備をとあった。上陸の際は、傘は禁止で、強い雨の場合には上陸自体が中止となる。

だが、からりと快晴だった。船の発着場所は、宿泊したホテルからバスでものの数分で、「出島」が見える位置にある。ターミナルビルの売店でお土産物を物色していると「出発時間ですよ」と売店のお嬢さんにせかされた。再訪を約束して、こけつまろびつ桟橋に向かう。

ゆるゆると離岸した。軍艦島上陸・周遊ツアーは、満員御礼のまま、到着までおよそ40分の遊覧である。左手に長崎半島、やがて右手には、クルーズ客船ダイヤモンド・プリンセス号が建造された三菱長崎造船所や、神ノ島のマリア像が過ぎてゆく。素人目にも良港だ。細く長い長崎港はそのまま自然の要塞に思える。軍艦島こと端島(はしま)が見えて来る。港から南西方向に約18キロの、かつて「端島炭鉱」と呼ばれたところ。

乗船客は班ごとに分かれて行儀よく上陸する。海外の観光客が多い。英語による案内希望、日本語による案内など、登録したそれぞれの班に分かれていた。 

見学は、東側の炭鉱エリアの一部だけに限られていて、三ヶ所ほど、見学広場が設けられている。班ごとに「廃墟」の説明が始まった。英語ガイドのお爺さんが凄い。

1時間弱歩いて、最後は船での周遊が始まった。島を中心に船はのんびりと弧を描く。成程、位置によっては波間に浮かぶ軍艦そのものだ。大正10年にご当地長崎で建造された「軍艦土佐」にそっくりだという。いかさま長崎湾の玄関口で、外敵に睨みをきかせている。

売店のお嬢さんと再会する。お土産を買いそろえた。青森の友人には「軍艦島の売店で買ってきた」と話す。「軍艦島に売店があるのか?」・・うん。艦長が、君によろしくと言っていたよ、と続ける。