その91「一般参賀・行状記」

「一般参賀・行状記」

令和5年2月23日。今上天皇ご即位後初の「天皇誕生日/一般参賀」があった。事前応募制がとられ、当選倍率は12.6倍だった。私はそれに当選してしまったのである。

参賀の前日には、東京駅八重洲口に近いビジネスホテルに宿泊し、当日は、徒歩で皇居に向かった。集合場所は、多勢の人で雑然としていた。所々に無線を操る警察官がいて、遥か上空には、ヘリコプターの飛行音が轟いている。路の両側に、市民ボランティア風の方々が並んで、にこやかに旗を配っていた。「どちらからです?」「青森です。」一様に驚かれる。

一般参賀は、総勢約4,800人だった。午前中、3回に分けて行われ、私は2回目の組に入っている。身元確認や持ち物検査などを済ませ、第一陣が終了したあと、我が一行は二重橋を渡り皇居正門を通過、長い列は、長和殿(ちょうわでん)前広場の宮殿東庭に入った。

テレビ報道などでよく見る長和殿は、長さ160m、バルコニーに面した東庭は、約4,500坪ある。足元のすべてが石畳で、清々しい。香川県産の安山岩だという。

二基のモニター画面が、一転、文字情報からわれわれ参賀者の姿を映し出す。幾人かが自らの映り具合を確認しようと旗を振りだした。それを周りが真似て、東庭は紅白の波と化した。まるで、リハーサルである。いつかテレビで見た光景を今、自分が体験している。

お出ましの案内である。お出ましは、長和殿の中央バルコニーになる。あわてて双眼鏡を取り出して、のぞき込む。穏やかな声が響き渡った。「寒さの中にも、日ごとに春に向かっているのを感じます。」天皇陛下の挨拶のあとには、5~10分ほどのお手振りがあった。

皇居外苑には記帳台のテントが設けられた。こちらも長蛇の列だ。そんなことから、記帳はあきらめて、私は、土産物売り場に直行した。

周囲は公道である。みなさんそれぞれに祝日を楽しんでいる。幼女の声がした。「どうしてみんな、旗を持っているの?」母親が微笑んでいた。早春らしい、のどかな一日になった。