その96「確かに。」 

「確かに。」

 近頃、「確かに」という返答・相槌が蔓延しているようだ。

 私の周囲はもちろん、テレビを見ていても一般の人からタレントさんまで、脇見をしていたら、全国制覇されてしまっていた感がある。

 いつ、どこで始まったのか。きっかけは何か。一日に5回も聞けば、罪のないその「確かに」という言葉が妙に鼻に突いてくる。極力というより、意地でも使わない、と心に決めた。

 SNSで調べてみると「『確かに』が口癖の人」という項目があった。私だけの気がかりではなかったようだ。   この言葉は実は、私がよく使う「なるほど」と同類だった。

「なるほど」と返答する人は、話の半分も聞いていないと言われる。耳が痛い。又ほかにも、「これには3つのポイントがあります」のように、切れの良い3の数字が出れば、内容自体が怪しいとも。 

外野の声は、いつも夏の蠅のように飛びまわるけれど、小耳に挟めばちくちくと気になってくる。

フェイスブックの「お友達」に問いかけてみた。女性Jさんは「『確かに』は、①共感。②相手を否定しないコミュ。③でも異論がある④出方を待って自論を述べるズルさ。」などと挙げてくれた。男性Tさんは、全体の疑問に対し一言そのまま、「確かに!」と返事をくれた。実はご両人とも、昔お世話になった関東圏の先輩と後輩である。当たり前に全国的なのが「確かに」の凄さだと思い知った。

こう書いてくると、百人にひとりくらいは「確かに」を口にしにくくなるかも知れない。その必要はない。強引に突き進め! やめる時が来るとすれば、親しい人や憧れの人が「いやだ」という時である。欠点を大目に見てもらっている相手には、強いことは言えない。すべてはお互い様のことで、「はい、確かに」と、引き下がるしかない。